『言語研究』148号特集論文募集

『言語研究』148号(2015年9月刊行予定)では「文献言語学」を特集することになりました。論文あるいはフォーラムの原稿を募集します。締め切りは2014年12月31日です。
 言語学の歴史をふりかえれば明らかなように,洋の東西を問わず,言語に関する科学的・実証的な研究は文献に残された言語の研究から始まりました。英単語のphilologyが現在でも,「文献学」のほかに「言語学」の意味を併せ持っている所以です。日本においても,例えば本誌の創刊号(1939年1月)に掲載された5点の論文のうちの実に3点が文献の言語を扱っておりました。著者は福島直四郎(後の辻直四郎:梵語),泉井久之助(突厥語),高津春繁(古典ギリシア語)でした。同年4月刊行の第2号には有坂秀世(古代日本語),9月刊行の第3号には服部四郎(蒙古文語),河野六郎(朝鮮漢字音)の論文が掲載されています。どなたも日本言語学会を代表する巨人たちでした。とりわけ東アジアの文献言語の研究で,当時日本の研究者は世界の研究をリードしておりました。しかし近年この分野は,理論言語学やフィールド言語学,あるいは社会言語学や類型論研究などの影に隠れてあまり注目されなくなっていることも事実です。その一方で,わが言語学会の会員には,これらの研究を受け継ぎ発展させるべく不断の努力を重ねておられる方が少なくありません。
そこで本特集では,過去の文献の読解を通じて得られるデータを扱い,当該言語に関する言語学的な研究をテーマにした論文を募集いたします。なお,文献に残された言語であれば洋の東西も時代も問いませんが,当該言語が死語になっていない場合には,その言語の過去のあり方を扱った研究に限ります。多くの投稿をお待ちしています。

日本言語学会編集委員会