日本言語学会学会賞

日本言語学会では、学会の研究活動の一層の向上・充実を目的とし、若手会員に主眼を置いて、優れた研究を顕彰するために、
論文賞大会発表賞の2つの賞を創設いたしました。優れた研究論文や研究発表がますます活発に投稿・応募されることを期待しております。
なお、直近の受賞者は以下の通りです。

  • 2023年度の論文賞(1件)
    [詳細はこちら]

    • 諸隈 夕子 氏「ケチュア語アヤクーチョ方言の示差的目的語標示と情報構造」
  • 第166回大会(2023年春季)の大会発表賞(2件) [詳細はこちら]
    • 有賀照道氏(共同発表者:松原理佐氏)「⽇本語アクセントが⺟⾳の⻑短の知覚に与えるトップダウン効果」
    • 田中皓也氏「意志性によるビルマ語動詞の分類」

過去の受賞者については本ページ下部のリンクよりご覧ください。

○日本言語学会論文賞 (2011年度より実施)

過去2年度(4号分)の『言語研究』に掲載された「論文」の中から、特に優れた論文に対して授与されます(賞状および副賞賞金)。(毎年1件。最大2件)(「日本言語学会論文賞」規程 )

2023年度の論文賞(1件)

諸隈 夕子 氏

「ケチュア語アヤクーチョ方言の示差的目的語標示と情報構造」、『言語研究』163号、pp.111-138 (2022年9月)[本文PDF]

本論文はケチュア語のアヤクーチョ方言における体言化従属節の中で起きる示差的目的語標示(differential object marking:
DOM)と情報構造の関係を調査に基づくデータから論じ、対比的焦点および意外性という概念が目的語標示の動機づけになっていると主張するものである.従来、指摘されてこなかったDOMの情報構造上の機能を見出し、理論的に新たな知見を提示しえている点や、自身の現地調査に基づく丹念でわかりやすい記述を行なっている点が高く評価された.情報構造と示差的標示の関係は他の言語にも通ずる大きなスコープを持つ問題提起であり、本論文における限定的な状況の考察のみではその解決の糸口を示すには不十分であるとの意見もあったが、記述的にも理論的にも言語学上の貢献は大きいと認めうる。以上により、日本言語学会論文賞授賞論文にふさわしいと判断する。

[授賞式(第167回大会、11/12,同志社大学)]
2023年度論文賞授賞式-諸隈氏

○日本言語学会大会発表賞 (2011年秋季大会(第143回大会)より実施)

大会における優れた口頭発表・ポスター発表に対して授与されます(賞状および副賞賞金)。(毎回数件)(「日本言語学会大会発表賞」規程 )

第166回(2023年春季)大会の大会発表賞(2件)

有賀 照道 氏 (共同発表者:松原 理佐氏)

「⽇本語アクセントが⺟⾳の⻑短の知覚に与えるトップダウン効果」

音声単語知覚の問題として、十分に先行研究のレビューを踏まえた上で探求性の高い実験研究が企画実行されている点が評価できる。実験は条件の統制もよく考えられており、統計処理も複数の手法を用いた検討が行われている点について高い評価を得た。発表および質問への回答が明快である、などの審査意見があり、全般に高い評価を得た。

[授賞式(第167回大会、11/12,同志社大学)]
2023年度秋季大会発表賞授賞式-有賀氏

田中 皓也 氏

「意志性によるビルマ語動詞の分類」

ビルマ語の動詞について、意志性に基づく新たな分類を提案する研究である。先行研究に新たな知見を加える探究性も高く、新しい試みとして評価できる。資料・発表の仕方・質疑応答も的確であった。当該分類方法が文法全体にどのような影響を与えるのかという点についても、今後の研究の進展が期待できる、有望な発表内容だったと言える。

[授賞式(第167回大会、11/12,同志社大学)]
2023年度秋季大会発表賞授賞式-田中氏


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