第147回大会(2013年秋季,神戸市外国語大学)の発表賞(3件)

・カフラマン バルシュ氏(共同発表者:オズベッキ アイドゥン氏)

「トルコ語における再帰代名詞の解釈に関する一考察」

トルコ語における2種類の再帰代名詞の解釈について、実験的な観点から考察した意欲的な研究である。従来の内省に頼る研究では未解決であった問題に対して、新たな視点を提示した。発表は明快で、質疑応答も適切であった。研究への真摯な取り組み姿勢が、今後の発展の可能性を感じさせた。

・小林由紀氏(共同発表者:杉岡洋子氏、伊藤たかね氏)

「規則適用としての連濁:事象関連電位計測実験の結果から」

日本語の連濁現象に見られる諸条件を事象関連電位(ERP)計測という実験手法で分析し、連濁が類推ではなく規則によるものであることを主張した。問題の設定や着眼点のユニークさに加え、実験デザインも緻密であり、発表もわかりやすかった。今後の発展が大いに期待される研究である。

・松井真雪氏

「対立が”不完全に”中和した語の音声知覚:ロシア語の語末無声化の事例」

ロシア語の不完全中和の問題を、独自の知覚実験をもとに検討した。語末摩擦音の有声性が母語話者によって聞き分けられている一方で、摩擦音と破裂音の間に相違が見られることを指摘した。実験方法は堅実で、発表もわかりやすかった。今後は 通言語的観点を加えることで、さらなる進展が期待される。

授賞式(第148回大会,6/8,法政大学)

2013年秋発表賞